□「ものっそ叫ビ隊」最新アルバム「サン・サン・サン・ロック」所感。

先ずもって小倉くん、久保さん、坂本さん、3rdアルバム完成、誠におめでとうございます。 ところで、門外漢の小生なんぞにライナーノーツのオファーを頂けるなんて、身に余る光栄と喜ぶ反面、分不相応ゆえにお断りしようかとも決断致した矢先、CDと「ひさ枝さんの手打ちうどん」が我が家に届きました。で、早速賞味しましたところ、音も味も星×5。そんなわけで執筆を引き受けた次第でございます。
では感想、けれどその前に、ボーカル&ギター・たんこ氏との関係性を簡単に申し上げておきますと、大学時代のクラスメイト。初対面は入学式後の確かオリエンテーション、席が五十音順で決められていたことから、私の前には必然的に彼が座っていました。むろん挨拶を交わし、のみならずコミュニケーション。すぐさま打ち解け、いつのまにやら敬語を捨てて長崎弁丸だしに(長文になりそうなので以降割愛、「O村の唄」をご参照下さいませ)。
しかしマア回顧しますに、小生一体何をすべく一浪してまで進学したのか?

その壱、数学ならぬロックの勉強
その弍、合コンまたはサークル(人形劇団ふうせんのり)
その参、家庭教師のバイト


と、迷わず上記三つに集約されます。そして「その壱」の先生こそが、小倉氏に他ならず、当時ワタクシ、ラジカセしか持っていなかったので、彼はマメにCDからダビングしては、わざわざ下宿先のハイツ三木までカセットテープを届けてくれました。プリプリやウェルズ、ないしジュンスカやら真心ブラザーズなどを皮切りに、ビートルズ、ジョン・レノン、ストーンズetc、和洋問わず、とにかくあらゆるアーティストの曲を傾聴する機会を与えて頂き、おかげで私の耳はポップスの殻を破り、R&Rへと次第に開かれていったのです。尤も、「赤痢」だの「セックスピストルズ」だの「原爆オナニーズ」には、名前が名前だけに、初めはさすがに抵抗ありましたが(笑)。
他方ライブにも事あるごとにお誘いくださり、彼がボーカルを務めていた懐かしの「シャウターズ」の他には、「真心」と「泉谷しげる」が多かったっけ?
マアいずれにせよ、仮に小倉くんと会わなければ、例えばプリンセス・プリンセスの場合、「M」は良くとも、「ゲットクレイジー」についてはチンプンカンプンだったろうし、真心の「ジェラスガイ」、泉谷の「サティスファクション」も聴けずじまいの学生生活、すこぶる味気ないものになっていたに違いありません。遅まきながら、本当に有難うございました。いや、友へのこの感謝のキモチを言葉で表現したとてあまりに軽く、したがいまして目下、「ライブ応援」こそが私にとって唯一の報恩手段であります。
さて本題(寸評)、ちなみに既知曲が4分の1しかなく瑞々しかった。以下順番に・・・

00-タイトル
「サン」には、「3枚目」「スリーピース」「三日初公開」、あるいは「太陽がまたのぼる」(笑)?、ともかくいろんな意味が込められていよう。

01-「自慢したい」
覚えやすく、ノリもいい曲で掴みはオッケー。最後の台詞もさることながら、「サビ」→「Aメロ」→「サビ」→「Aメロ」→「Bメロ」→・・・実はこの切ないBが大好きで、これ抜きで全体は語れまい。

02-「根幹ストライカー」
文句なしにカッコイイ典型的な二枚目R&R。セカンドアルバム「ズル向けROCK」に匹敵する。

03-「20年間生活」
02同様秀逸!

04-「突然アンカー」
ベースとボーカルに法悦。一例、サビの最後、キーをギリギリまで高くし、しかも伸ばさないセンスの良さ。凡人はその反対を選択しよう。さらにはラスト「走れ」の、シンコペによる加速化にカタルシス!

05-「ドラゴンケン氏」
ファースト「のんびり屋のケン太くん」、でもってセカンド「しっかりケンさん」に続く、いわば傑作「ケンちゃん」シリーズ第三弾。歌詞といい、スギちゃんみたいな「だぜ〜」といい、我がタブレットの着信時のような腑抜けた効果音といい、最強「バカロック」ココにあり。無茶苦茶楽しかった。しかれどメロディーは昭和のジャニーズ風で、黄色い声援が聞こえてきそう。中学生の頃にたんこ氏は、シブガキ隊を友達三人で熱唱していたとのこと。たぶんその影響も少なからずあるやも。あるいはセカンド「ネガティヴ・マン」的とも形容しうる。

06-「88ブギ」
とかく暗くなりがちな予備校生活を謳歌した青春ソング。ライブの定番。ポップスやジャズに加工しても違和感なしの、万人受けするメロ。

07-「オンザロックがお好きでしょ」
リズム&ブルースっぽい。作った所以も述べられるメタ曲。

08-「白銀を滑る赤」
ここからは本格的なバラード。仕事後の疲労時、もしくは落ち込んでいる際に聴けば、英気を養えること請け負い。

09-「ドンマイ・レディオ」
08同様元気になれる。

10-「ホッピー・ラヴ」

08、09同様、イライラ解消のセロトニンSONG。これはしかし、会社員の皆様に、晩酌時、なかんづくアフターファイブの居酒屋にて聴いてほしい。女の子の声も加わって、よりいっそう楽しめる酒賛美歌。ファースト「ビバGT」もお忘れなくね。

11-「電気のROCK」
ライブを盛り上げる為には欠かせぬ、鼓膜を破るがごとき激しい「ハードロック」、又は「ヘビメタ」チックな曲。

12-「ラード・ミー」

11同様、ノルアドレナリン全開!

13-「ど〜だ?シャッフル!」
坂本さんがボーカル担当。彼の底抜けに明るいキャラとマッチしたメロとリズム。ドラムが御専門とはいえ、素人離れしていて上手い。その爽やかな歌声は、「ハウスバーモンドカレー」CMソング適任。

14-「インディー・ツアー」
08から10までのバラードとは異なり、しっとりと始まる。だがサビは力強く、つまり振幅の大きさが特徴の(全くブレない小倉くんの生き方とは裏腹なるも)、心に残る一品。

15-「お世話になりやした」
14同様。「ンチャ、ンチャ」のジャマイカリズムが印象的。

16-「世界で一番の小さい花」

真骨頂を発揮したといっても過言なき、ロックの世界を超越した芸術作品。一人二役のハモリにせよ、ギターにしろエフェクトにしろ格調高く、本アルバムの極み。花三部作にブラスワン!

17-「時計」
Aメロは、小倉くんの娘さん二人によるものか? 癒し系のシャウターズ「まほろばの君」と、ソウルフルな叫ビ隊2nd「ヤングシャウト」を足し算したような短篇作。小生こういう曲に涙腺弱し。

18-「タクシー・ゴー」
ものっそ叫ビ隊の代名詞ともいうべき畢生の大作。アルバム「秋味」における本命を装い新たに。終章での全インスツルメントの狂喜乱舞は、混沌と秩序の境界。

19-「えせドラゴン」
ベースの久保さんがボーカルのR&B。歌詞はタイトル「えせドラゴン」オンリー。「ブラック&ブルー」の「ホットスタッフ」彷彿。四日市の田舎にて車の窓を開け、タバコをくゆらせながらの拝聴。奇しくも近くにいた飼い犬の鳴き声がフィット。テンポチェンジに悦楽。

20-「さようなら」

迫力あるライブバージョン。「前座ライブ」の一曲目から「さようなら」とは、いかにも小倉氏(笑)。あたかもカラオケスナックに入るが早いか、田原のトシちゃん「抱きしめてトゥナイト」でなく、「夢で会いましょう」を唄うがごとし。とはいえ叫ビ隊のこの曲、ホンマはOPに相応しいグルーヴ感抜群の逸品。掛け声もたまらん!
以上。

ともあれ「ものっそ叫ビ隊」よ、私が死ぬより先には解散するなかれ!
6月10日、「イノパー」応援行くしね。ガンバルンバ!

2017/05/28 大村一洋